定期的な検診で早期発見を


定期的な検診で早期発見を

日本人の2人に1人が一生のうち一度はかかり、3人に1人が命をなくすと言われている「がん」。
日本人にとって身近な病気の一つだが、その発生には、喫煙、飲酒、運動不足などの生活習慣が関わっており、普段の生活を見直すことが大切である。対策には自覚症状のない時期に検査を受け、早期発見し、早期治療することが重要で、その大きなポイントの一つが、がん検診だ。

がんの予防には、生活習慣を見直す「一次予防」と、がん検診を受診することでがんを早期に発見、治療する「二次予防」がある。一次予防には、減塩、節酒などの食生活、運動、適性体重の維持などあるが、「最も大切なのは禁煙」。そう強調するのは、島根県環境保健公社・総合健診センターの足立経一所長だ。胃がんにおけるピロリ菌感染、子宮がんにおけるパピローマウイルスなど感染によるものを除けば、喫煙は多くのがんの発生に関わっている。

一方で、「生活習慣の見直しだけで予防できるわけではない」と警笛を鳴らす。「人間の体の中では1日に多くのがん細胞ができているが、そのほとんどは免疫の働きなどで死滅している。ごく一部の生き残ったがん細胞が増殖し、10~20年かけて検査で分かる1センチの大きさになっていく。ところが、1センチから2センチになるには1年半しかかからない。だからこそ定期的かつ継続的な検診が必要」と検診の重要性を強調する。

「がんは早期に発見することで安い治療費で完治を目指すことができ、結果的に本人だけでなくご家族のご負担も少なくて済む。島根県のがん登録のデータをみても、検診によって発見された場合は、自覚症状が出てから病院を受診して発見されたのに比べて、早期がんの占める割合が圧倒的に高く、早期治療につながっている(下図参照)。しかしながら、検診で発見されたがんの全体に占める割合がまだまだ少ない」。

発見経緯と病巣のひろがり

一部を除き、多くのがんは加齢とともに増加していく。「会社勤務中は会社主導で検査を受けていた人が、退職後には検査を受けなくなることが多い。ぜひ、退職後には市町村が実施する検診を受けてほしい」と訴える。コロナ感染症の感染拡大以降、がん検診の受診率が全国的に低下し、進行した状態で発見されるがんが増加している。現在、がん検診はコロナ感染対策も行いながら実施されており、ぜひその機会を利用したいものだ。また、検診後、要精密検査と判断されたにも関わらず、受診しない人も少なくない。「未受診で不安を抱えたまま過ごすのではなく、精密検査で異常がなければ安心できるし、治療が必要となっても早い方が完治しやすいので、必ず受診してほしい」と語る。

(2023年4月30日掲載)