皮膚がん、紫外線に要注意 島根大医学部山﨑教授 帽子、日焼防止で対策を


皮膚がん、紫外線に要注意 島根大医学部山﨑教授 帽子、日焼防止で対策を

5月に入り、紫外線の強さを実感する人も多いだろう。皮膚がんの主な原因は、直接浴びる紫外線とされており、スポーツや農業など屋外での活動が多い人は、知らぬ間に体内に紫外線が蓄積されている。

島根県で2018年に新たに皮膚がんを診断された人は126人(上皮内がんを除く)。島根大学医学部皮膚科(出雲市塩冶町)の山﨑修教授によると、皮膚がんは希少がんで患者は少ないものの、高齢化によって患者の数は増えると予想されている。県内では農作業をする人が多く、とりわけ日光浴を推奨された世代の高齢者は、紫外線対策には疎い。

皮膚は表面に一番近い角質層など4層に分かれる。皮膚がんは、皮膚のどの部分の細胞が悪性になるかで、いくつか種類がある。

角質層に次ぐ有棘層の細胞が悪性化したがんを有棘細胞がんという。原因の4分の1が、顔や頭皮などの皮膚の表面にできる「日光角化症」といわれており、1~2センチのカサカサとした角質やかさぶたを伴う。長年の紫外線のダメージを受けた70歳以上が8割で、赤くカリフラワーのように皮膚が盛り上がるのが特徴だ。やけどなどの傷から発症することもある。

ほくろのがんとも呼ばれる悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚のメラニン(色素)を産生するメラノサイトが悪性化した腫瘍。良性の腫瘍がほくろとなる。日本で10万人に1~2人しかならないとされるが、他のがんと比較し20~50歳代など若い世代の発症も多いのが特徴だ。

メラノーマの原因は紫外線ではないとされており、日本人は足に発症する確率が40%を占める。ほくろやしみと見分けが難しく、放置しがちだという。

見分けるポイントは、左右非対称、端がギザギザしていて境界が不規則、色むらがあり、白や赤色が混じっている、大きさが7ミリ以上、形や症状が変化していく5つの異常だ。

進行状況は縦横の広がりではなく、厚さで確認する。薄ければ除去しやすいが、盛り上がったり厚さが出ていたりする場合は転移している可能性が高い。メラノーマの5年生存率はステージ2で71~94%、ステージ3で43~79%だ。

皮膚がんは手足の診断の場合「ダーモスコピー」というライトのついた拡大鏡ですぐに確認できる。気になる点がある場合は放置せず、早めに医師に相談することが大切だ。

皮膚がん、紫外線に要注意 島根大医学部山﨑教授 帽子、日焼防止で対策を
皮膚がんの診断するダーモスコピー

山﨑教授は「日焼け止めクリームや帽子など紫外線対策に気を付けることと、背中や足の裏などいろいろな部位の皮膚を見ておくといい。自分の目が届かない部分は家族に見てもらい、日頃からセルフチェックするように」と呼びかける。

(2022年5月31日掲載)